『人間力だより』Vol.036

 自社の企業体質を再度見直そう

こんにちは、ライブウェア代表の古田です。

今から20年以上も前の事ですが、日本の視察団として英国の中部企業のジャガ ーの開発部門とロールスロイスのジェットエンジンの開発製造工場部門を訪問 した時の事です。

ジャガー社では当時既に一般的にはコンピューター設計が進んでいたにも関わ らず図版に向かっている人も多く、視察団の多くの人々は、あまり参考となる ところが無い様な意見が多くありました。
今ではどこの自動車メーカーも必ず行っている事ですが、当時ジャガー社では あらゆる機能での徹底したストレステスト、例えばドアーの開け閉めだけでも 何ヶ月もかけて何十万回も実際行いチェックしていました。

勿論、論理的なシユミレーシヨンは行いながら徹底した全て一つ一つ実証する 事が量産品の顧客への信頼獲得とサービスであり、これを自分の手で一つ一つ 行うのは当然の事であり、これが開発作業の一番需要な機能であると語ってお りました。
次に訪問した大型ジェットエンジンのロールスロイス社の場合は、徹底した部 品レベルでの品質管理と完成品レベルでのチェック、即ちストレステストを徹 底して行うという、「多種少量生産」の特性が出ていました。
ただし、あまり重要でない機能に関しては各現場サイドで切り貼りして作るレ ベルでした。
そのため量産品や何事も完璧主義に慣れている日本の視察団の多くは日本の物 作りと比較してレベルを低く感じた様です。

しかし、本当にそうなのでしょうか。真の品質管理と真の生産性を融合させた 場合の製造業の形とての物つくりの再確認の必要性を私は感じた次第です。

その時の日本からの視察団は夫々日本を代表する企業の重要な立場の人々であ りましたが、後で意見をお聞きしましたところ、色々沢山の意見を戴きました。
その中で共通したことは「夫々の参加企業の形、顧客の違いなどにより結局夫 々の「見方、評価」に大きな開きがあった事」を、今でも明確に覚えておりま す。
これは、夫々のの企業体質の中で各人が色々な仕事をし、育つて来られた上で 「ものの見方、考え方」が基礎が出来ているわけであり、多くの各場面で常に それとの比較論で発想し、夫々の人々は当然の方程式として殆どこれが成り立 っている為であります。
この基本方程式が企業体質を現しているとつくづく感じさせられました。

即ち、以前にも何回となくお話ししている、「企業体質」とはその企業に関係 する人々の「ものの見方、考え方」に共通しているものであり、これは創業精 神、顧客の状況、業態、人事制度を含めた各種管理制度、業界、競合特性等に より作られ、これらの要因の変化と共に体質も意識し無くとも少しずつ変化し てゆきます。

企業によっては気がついて見れば創業精神から大きく逸れていて、引き戻すた めに大きなエネルギーを要した例もあります。

この様に気付いて行動を取る企業は良い方で、この体質の変化と言うものは業 績に短期的にストレートに現れないため「気がつかない」企業が多いか、或い はなんとなく気がついていても、「まだ大丈夫」とたかをくくっていて、重傷 に成ってしまう場合もあります。
もうその頃には色々な手を打っても全て空回 りしてうまくゆかないといった所が如何に多いか各自お分かりの事と思います。
したがって、日本の企業は各自今自社の企業体質の形はどうか、更に世間的に はいったいどのレベルなのか冷静に見直す時期ではないでしょうか。

今、原子力発電のストレステスト等の言葉が突然持ち出され右往左往している ようですが、各電力会社はそもそもが下請け納入業者側に常に命令すれば何で も事が足りる体質になりきってしまっていて、外部世論まで外注先に作らせる 行為を「やらせメール」を使って行うようになっているとしか思えてなりませ ん。
こんな事は当然後でバレる事も分からなくなって平気で行うと言った具合で、 もう「お山の大将的体質化」してしまっているのが今全ての電力業界の各社で はないでしょうか?
即ち地域社会の諸々共に供給してやる、自分の必要な物は買ってやる、仕事を 造ってあげると言ったのが日常の主な「仕事」であり、一般の企業で言う「顧 客」が存在しない体質企業の典型的な形なのです。

だからと言ってその中でどっぶり浸かって育った、そこに存在する社員等を今 更責めても本当はお門違いかもしれません。


しかし、今回の原子力発電関連の問題は一日本国だけのものでなく世界的大問 題であり、東京電力のいいかげんな報道や九州電力の世論操作などは、一企業 の問題として片付けることは出来ません。

これは日本国、日本人の問題として世界から見らているわけで、我々日本人と して本当に「恥」なければならないと思うのは私だけでしょうか?
日本には独占禁止法がありながら政官業こぞってこの業界の地域独裁を認め合 い、三者共お互いに利用し合うことによって、この様な世界に恥なければなら ない企業「体質」を育ててしまったことであり日本国民全体で猛反省する必要 があると思います。

この様な体質の業界に対して、今回政府が打ち出した「ストレステスト」ですが、そもそもストレステストとは基本的に、今回の冒頭で取り上げ たジャガー社やロールスロイス社の様に「顧客志向」の徹底化から生まれた言 葉であり、以上の様な体質の電力業界に強制的に行っても恐らく後から後から 際限のない不具合が出てくることも予想され、いったい最終的にどうするつも りなのか、益々先が見えない政策になってしまうと思われてりません。

それよりも何よりも先ず日本の経済の根底を左右する様な、このような体質の 企業のを如何にしたら無くすことが出来るか、そのための政策としての方向性 を国民の誰もか納得する形で打ち出すのが今後の日本の経済活性化及び日本再 生化の上からも最も先を急ぐテーマであるはずです。

以上の電力会社問題は行政にまかせるとしても、日本の経済はおろか日本国を 今後変化活性化させる牽引力は何万社にも及ぶ民間企業であり、その中でも特 に世の中で大企業、中堅企業と呼ばれる所の活性化が無ければ日本沈没状態か らの浮上はあり得ないと思います。

この沈静化状態の日本とそれと関連する世界を含めて、今後のこれらの大きな 変化を捉えた場合の自社の「体質は如何にあるべきか」それに対して今の「体 質」はどうか、創業精神は失われていないか?一度見直し、関連する人々全員 で確認し合い活性化のトリガーとする今が良い機会ではないかと思います。
その意味では今回の電力会社の不祥事は日本の恥をさらけ出してはくれました が、今後の日本の活性化にとって大きなブラスのチャンスをもたらしてくれる かもしれません。 なでしこジャパンの優勝にあやかって、日本の再活性化を このチャンスに各社日本人の特性をが生かしてもう一段日本が飛躍し強くなる ことを祈らざるを得ません。



ライブウェア株式会社
代表取締役
古田貞幸




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