『人間力だより』Vol.037

 智慧を働かさない者はやがて信頼を失う

こんにちは、ライブウェア代表の古田です。

皆様、新年明けましておめでとうございます。ライブウェアの古田です。
2011年は国内では大震災から原発事故、世界を見れば連続した中東独裁国 の崩壊と独裁者の死。
更にヨーロッパ経済の混乱と、この2011年は大きな変化 が世界的に起こりました。
2012年は世界の主要国のトップの多くの変更が予想される年でもあります。
特に原発事故に関しては未だにはっきりした原因も明確にせずに、国内景気の 回復と言いながら経済の基幹である電力の国内原発の運転停止を次々と行なう、 一方では電気自動車の普及に減税迄行うと言った全体の調整不足を平気でさら けだす様な経済音痴ぶりです。
特に原発事故の地域住民には小手先の除去処理を行いながら、明確な将来像の 回答も出さずに蛇の生殺し状態に置いたままであります。

とにかく一日も早く原因を明らかにし残っている原発に対策を施し、経済成長 の基幹である電力量の回復と料金値下げの対策をスピーディーに進めて貰いた いとおもいます。

今世界で250基以上の原発の建設計画を推進している中で、こんな日本の態 度は世界の信用を失うばかりか、我が国の経済活動にも大きな影響を及ぼす事 は必須であります。
この様な国と関係者に対する怒りの念は地元の福島県出身者である私だけでは ないはずです。
何れにせよ個人であれ企業であれ、今後2012年以降少なくとも10年間は今迄と は違った視点の発想でのしっかりした計画が必要でしょう。
即ち、この様な世界的変化を総括すれば今年は我々文明の変節点と捉える事が 妥当であり、我々は常に今迄の連続性思考から離れた視点で物事を考えなけれ ばならないのではないかと思います。
一つの例として企業活動と従業員との関係を考えた場合、今迄日本にはこの様 な変節点が幾つかありました。
日本が高度成長を推進していた時代は「ゲマインシャフト」的な発想で企業経 営が進められて成長し、従業員に対しても年功序列賃金、毎年度のベースアッ プ、更には手厚い各種諸手当迄充実した人事制度が主流でありました。
経済成長が為替の変動等と共に各種経済制度も国際化に対応型になり、各企業 は基本的に「ゲゼルシャフト」的な発想での仕組みに切り替え、対従業員制度 も年功序列賃金の廃止、ベースアップや各種諸手当の廃止等で職務、職能賃金 を主体とした人事制度、更には社員から契約社員、派遣社員制度、即ち必要な 時に必要な工数を出来るだけ安価で買い入れました。
これでも対応出来ない場合は長期的に考えて海外移転と言った形を取ってでも 企業を維持発展させます。

私は30年以上の経営コンサルタントとしてその企業とその時代の環境に沿って、 各種制度作りをクライアントと共に進めて来ましたが、常にこの「ゲマインシ ャフト」と「ゲゼルシャフト」的発想への偏りに間違いなかろうかとの葛藤で ありました。


「ゲマインシャフト」と「ゲゼルシャフト」とは
一言で簡単に云えば両者とも組織形態、共同体の運用の際の思想的在り方の違 いを言います。

☆「ゲマインシャフト」とは
最も人間の本質的意思を基に結合し続ける事を基本思想として、組織形体、共 同形態からその運用の在り方まで考えています。

☆「ゲゼルシャフト」とは
人間がある特定の目的や利害を達成するために作為的に形成された集団や組織 形体であり、基本的には合理的、機械的な性格を持ち株式会社などはその典型 と言えます。


今になって考えて見れば、先ほど取り上げた世界的に見た文明変節点の正しい 見極めと、それによって10年先はどう変化しなければ成らないかを明確にすれ ば、何も悩まずにスピディーに実施に移すことが出来、自然と勝者になれるわ けであります。
逡巡して遅れる事こそ敗者のはじまりであり、何も難しい事ではないと今は思 えてきた次第です。
しかし色々な制度はあくまでも人を動かす仕組みであって、それに取り組み動 くきちんとした人間が十分存在する事が成功の前提であります。

昔からの言葉に
「我々の生活には常に機がある、其れをどう活かすかが活機であり、朝が一番  大切である」
 
即ち一日の生活では朝であり、企業活動の場合でもましてや国の政治活動に於 いても変節点ではスタートが一番肝心てある事を言っている訳です。
明治維新、戦後、高度経済成長と夫々の変節点をその時代に合った智慧を活か して乗り切って来た我が国が、今や世界から信用失墜になり始めているのは何 故でしょうか?
基本的なことが原因ではないでしょうか?
我が国国民一人ひとりが反省する必要があると思います。

明治時代ある英国の文献に
「日本人は勤勉である。ふんどし姿の人力車夫が客を待つ間に熱心に本を読ん  でいる。日本は将来素晴らしい国になるだろう」
と書いてありました。

日本はそれから素晴らしい発展を遂げるわけでありますが、同じように20年前 頃、ベトナムの街中で人力車夫が客待ちの間に本を熱心に読んでいる、と云う 文献を読んだ事を私は記憶にあります。
今後アジアの発展途上国では模範生となることと期待がもてそうです。
日本では勤勉と智慧者の模範として「歩きながら本を読んだ」二宮尊徳先生が 昔から尊敬されているのは、当時経済に困窮した沢山の藩政建て直しを指導し た智慧に対してであり、その智慧が生まれるのプロセスの形としてあの様な薪 を背負って歩きながらの読書姿に成ったものと思われます。

今はどうかわかりませんが、以前は日本全国の小学校には必ず先生の銅像が建 てられ勤勉性を重視して来ました。
その時代は車も無く誰の迷惑にも成らず尊徳先生は勉強できたわけですが、最 近混雑している街中で、なんと尊徳先生が増えた事でしょう。
今の尊徳先生たちは、文献の代わりにスマートフォン、携帯電話を弄くりなが ら人の迷惑も我関せずで電車のホームから人を落とした人身事故迄おこす始末 であります。
これは勤勉とは言えない迷惑娯楽であり、なんとスマートフォンを持っている 60%が偽尊徳先生であると云う、この辺が今の日本の弱体変化の一つではない でしょうか?

要するに物凄いスピードで発達したIT機器は「知識の学問」には役立つかもし れません。
しかし、「智慧の学問」には不向きであり、この様にあまり機器に頼り過ぎる 事が智慧の学問にマイナスになり兼ねません。

即ち「知識の学問」とは理解力、記憶力、判断力、推理力など悟性の働きで誰 でも一通り出来るものです。
が、しかし「智慧の学問」とは経験を積み、思策反省を重ね我々の人間として の体験の中から滲み出るものと、直観的な人格的な学問であります。 この様に智慧の学問になればなる程実際の生活的、精神的、人格的になってく るはずです。

我社ライブウエアは創立以来十年以上になりますが、この様な智慧を出し得る 人材育成に取り組んでまいりました。
しかし、これは本当に難しい課題であり今後とも各社の協力を得ながら一歩一 歩進めようと考えております。
日本語では昔から「インテリ」と言う言葉があります。
これは智慧の豊富な人を総称しており、これは英語のインテリジェンスから取 ったものと思われます。


冒頭に述べた多くの文明の変節点を迎える2012年には個人も企業も勿論国 家に於いても、智慧を働かせスピデーに対処して欲しいと念じて止みません。
其れには先ず我々一人ひとり自らが智慧を働かす訓練から始めようではありま せんか。



本年も宜しくお願い申し上げます。


ライブウェア株式会社
代表取締役
古田貞幸




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