人間力だより Vol.06

 〜企業活動における【改善】と【革新】〜
こんにちは、ライブウェア代表の古田です。


8月7日の朝日新聞「カイシャ再考」で「やる気の個人差100倍引き出せ」 が掲載されておりました。
これは三協精機をはじめ数多くの企業の再建をされた、日本電産の永守社長 の言葉です。

永守氏は買収企業に対して自ら会長にはなるが、経営は買収前のメンバーに任 せて再建させるという氏独特の方法を取って来られました。


 「人の能力の差はせいぜい2−3倍である。しかしやる気のあるなしは100倍にもなる。」


すなわち、企業の再建には、この社員の意識改革こそが必要なのだと氏は言わ れています。

改革・革新活動の活性化の基本は、そこに参加する人々の真の「革新とは何か」 の理解と合意から始めよと言われています。


よく行政改革、企業革新等、改革・革新といった言葉は幅広くまた何気なく使 われていますが、この使い方を明確に定義しているかと言えば、必ずしも明確 ではない場合が多いことが気になります。

この辺が明確でないとそこに参加する人各々のやる気の違い、考え方の違い、 その考え方に基づいた行動の違いとなって表れ、その結果、成果もあまり芳し くない結果に終わってしまうという事になりかねないからです。


同じように、企業活動でよく【改善】と【革新】という言葉が使われますが、 この辺の定義を明確にしないでなんとなく使われている事が多いように思います。


国語辞典を引いてみると…、


【改善】:悪いところを直して、より良い方向にもってゆく事

【革新】:因習的な体制をやめて、新しいものに変えること


とあります。

いま、企業内で【改善】活動を行い成功している会社は、この国語辞典で言う ところの【革新】レベルまで踏み込んだ活動を日常活動として取り入れている わけであり、少なくとも現在の企業活動全体に対して通じる定義とは言い難い と思います。


またある企業の定義を参考にしてみると…、


【改善】:ある現象の“問題”解決である

【革新】:ある現象の“課題”解決である


この場合の“問題”“課題”の定義は一般的に下記の様なことでしょう。


【問題】:解決対象の事項を世の中のトップクラスのレベルと比較して、自社の現状レベルとの差を明確に具体化したもの

【課題】:対象とする事項に対して「何を、どの程度、いつまでに」と具体化された目標があり、その目標と現状レベルの差を明確にしたもの


こうして見ると、結局【革新】の度合いは「目標」の高さによって大きくも、 小さくもなることになります。


以上二つの定義を取り上げましたが、わが国における現在の企業の 【改善】【革新】の定義としてはもう一つしっくりきません。

それは、このような定義で活動を行った数多くの企業の場合、以下のような不 具合が起っているのを、私は長いコンサルティング活動経験の中で多く見て来 たからです。


◆今日の飯を得る為の仕事はなんとか出来るが、将来の為の経営資産作りがお ろそかになり企業の発展は望めない

◆目先の改善活動を数多くする事が革新と錯覚して、常に活動はしているがい つの間にか競合社との格差が出来、そこではじめて革新でなかったことに気 づいても既に遅し

◆目標も高く、従って課題も大きなものが沢山出てくるが、解決する為の人的 基礎が出来ていない為、常に計画倒れになり、「どうせ出来っこない」が体 質化してしまう

◆自分は革新したと思っても評価されず、失敗したら評価が下がるので挑戦し なくなる

こんな事では永守氏が行われた現従業員のままでの企業再建などは到底無理な ことであると思います。氏は意識改革こそがポイントと言っておられますが、 まさに革新・改革の定義はこの辺にあると思います。


従来からライブウェアでは【改善】および【革新】の定義について、以下の様 に唱えてきました。



<<ライブウェアの【改善】【革新】の定義>>


【改善】:ある事項・現象の解決であり

【革新】:ある事項・現象を解決しながら関係する人々の、モノの見方・考え方、思想まで変えること


つまり【改善】とはある事項・現象が対象であり、【革新】は関係する“ヒト” が対象である事を明確に定義すれば、やる気を含めた、成功するための活動の 計画および成果の確認までも誰の目にも明らかになり活性化せざるを得なくな るはずだと考えております。

【革新】をこのように位置付けると、関係する人々のやる気を起こすための基 礎的力、すなわちライブウェアが常に唱えている『人間力』がベースになるこ とがお解り頂けると思います。

したがって、『人間力』を磨き、それをベースにしながら問題解決にあたり必 要技術・スキルを磨き、その繰り返しの過程を踏むことによって、モノの見方・ 考え方、思想まで変わる事が重要であり、それによるやる気の飛躍的向上こそ 各個人的革新であると思います。より企業の体質となってくる、これが 企業体質の改革であります。


すなわち、企業体質とはそこに存在する人全体の『モノの見方・考え方』の共 通部分であり、我がライブウェアの【トライアングル・アセスメント】はこの 辺の“個人のモノの見方・考え方”及び“企業体質”を出来るだけ正確に把握 するために作られたものです。


ライブウェア株式会社
代表取締役
古田貞幸

人間力を可視化する
【トライアングル・アセスメント】


最適な「場と教育」を提供する
【MPIシステム】


何を学ぶべきかナビゲートする
【ラーニング・ナビゲーション】


組織の活性化を推進する
【組織活性化力診断オークス】