人間力だより Vol.07

 〜真の顧客志向には『内標準・外個別』〜
こんにちは、ライブウェア代表の古田です。


前回に続き再び、最近の朝日新聞の『カイシャ再考』の中での記事を取り上げ てみたいと思います。
「内部牽制が働くトヨタの風土」が取り上げられていました。
トヨタの渡辺社長は最近、何度も繰り返して「自工程完結の再徹底」を表明さ れているとのことです。すなわち開発、生産、販売など部門ごとにそれぞれ抱える問題を自ら解決する と言う、ごく当たり前のことであります。しかし、自工程を万全にするには、全ての前の工程にもベストの仕事をして貰 わなければならず、後の工程が自分の工程に期待している全てを分かって行動 しなければなりません。
つまり、前後左右の工程と密接な連携がなければ、真の自工程完結の達成は 出来ないということです。


最近世界でもっとも強い企業と言われているトヨタが、なぜ今さら自工程完結 の徹底を再び唱えるのか、これが出来ているから今の強いトヨタがあるのでは ないのか?と一般には思いがちですが、トヨタの経営サイドから見ればまだま だ足りないと言うことなのでしょう。
いや、まだ足りないと言うよりはむしろ、もう少し次元の高い目標を持って表 明されているのだと思います。
要するに自工程完結の徹底という、この事は会社全体にお互いの内部牽制作用 が自然の形で働いていなければ不可能なことであり、更に顧客に対しては徹底 した『内標準・外個別』的全社体制の尚一層のレベルアップによる顧客志向作 りであり、狙いはこれが出来る体質・風土作りにあると思います。

この辺の風土、体制作りについては、4月に発信しましたメルマガ(vol.002) 内の当コラムで述べた、「日本企業の強みである『機能責任』と欧米企業の 『分担責任』体制の違いと進め方」そのものであり、是非ご参照いただければ と思います。


ここで、聞き慣れない『内標準・外個別』(うちひょうじゅん・そとこべつ) と言う言葉を今回私は敢えて使いました。
究極的真の顧客志向を達成する為の社内体制作りを考える場合、結局『内標準・ 外個別』が出来る仕組み作りの徹底が必要であり、それが出来る基礎的条件で ある社員個々人の『機能責任』意識・行動の確立です。これは成功している企業経営の共通の形であります。
すなわち『内標準・外個別』とは、それぞれの顧客の意向に沿う商品なりサー ビスを、顧客と共に徹底して考え満足を引き出しながら、それを作り出す方法 は自然の形で社内の標準の組み合わせにより、最も安価に出来上がる仕組みの ことです。
もし顧客の言いなりにそれぞれ個別に一から作り出したならば、多大なコスト と時間がかかってしまい、結果的には顧客の負担になることになります。 これでは真の顧客志向とは言えません。これはかっては個別受注生産品として 十分な時間と高い費用を顧客から頂いていた場合はありました。
しかし今日の顧客はそれぞれ自分の満足する商品なりサービスを“自分好み” で“出来るだけ安く”しかも“すぐに”でも欲しい訳であり、これにいかに対 応出来るかが、その企業の経営の力であり、これが出来る体制作りが今日の終 わりの無い企業の戦いとなっています。


私は三十数年にわたる経営コンサルタント活動の中で、どのような業界、業種 かに関わらず、成功し覇権を確立している企業はすべて、各々この『内標準・ 外個別』を可能とする体制をつくり、更にレベルアップに向けて活動している 企業であることが分かりました。

『内標準・外個別』が出来る体制とは、例えば製造業の場合ならばこうです。

「真の顧客志向に向けて、営業、商品企画・開発、原価企画、設計、生産技術、製造、品質管理、購買等、関連する全ての機能が、同じ思想、同じ情報、同じ力で同時並行に集中して行動出来ること。」
すなわち、この『内標準・外個別』が出来るレベルそのものが経営学上の企業 レベルであると言っても良いと思います。

ここで言う『標準』とは何であるかをお話する必要がありますが、この辺を詳 細に説明すればかなりのスペースをお借りしなければなりませんので、この辺 は追々後日発信することにして今回は『内標準・外個別』が出来る重要な大項 目を下記に掲げておきたいと思います。


 ◆ビジョン・思想の共有化

 ◆機能責任の裏付けとなる『人間力』の共有化

 ◆目的の共有化による自律、分散、並列のエンジニアリング力

 ◆情報、知識、技術の共有化

 ◆重複・無駄を無くすための各種標準
  ・“決まっている”ことに意義がある標準化
  ・経験、ノウハウの伝承としての標準化

 ・・・その他


以上、色々と掲げましたが、各企業は下の2項目に関してはかなりのレベルで きちんと出来上がっている所が多いわけですが、問題は上の3項目に関しては 各社大きな差があり、これが企業力の差となって表れているように思います。
特に『人間力』の差が結局全ての項目に左右するわけであり、今後はこの社員 全体の『人間力』の向上と同時並行にそれぞれの項目の改善を図って行く活動 が必要であると思います。






ライブウェア株式会社
代表取締役
古田貞幸

人間力を可視化する
【トライアングル・アセスメント】


最適な「場と教育」を提供する
【MPIシステム】


何を学ぶべきかナビゲートする
【ラーニング・ナビゲーション】


組織の活性化を推進する
【組織活性化力診断オークス】