人間力だより Vol.16

〜人事は社員一人一人の可能性を重視せよ〜『土光語録』から学ぶ人事の極意
こんにちは、ライブウェア代表の古田です。


わがライブウェア社では今まで、社員個々人および組織の活性化に役立つ多く の商品を作ってまいりしたが、開発にあたって最終的に私がいつも「基本的考 え方に関して違っていないか」等のチェックシート的に活用させて頂いている ものがあります。

それは、戦後日本の一大改革とも言うべき国鉄、電電公社、専売公社の民営化 の推進の中心となられた、土光敏夫氏が書かれた『経営の行動指針』と言う本 です。

この本は、ちょうど私が日本能率協会のコンサルタントに成りたての頃の昭和 45年に産業能率短期大学から出版されたものです。

石川島播磨重工業(現IHI)、東芝のトップとして活躍された氏が、社内報 等を通じて全社員に流された約一千の語録の中から、百か条を選ばれたとのこ とです。

今回は土光氏の語録の中から私どもの商品と深い関係のあるものを幾つか選び、 ご紹介したいと思います。

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 「人はその長所をみて使え、短所をみるを要せず」 ***********************************************************************
氏はこの荻生祖来(おぎゅうそらい:江戸時代の儒学者)の言葉に感銘されて、次の様に言われている。
「完全な人などは存在しない。どんな人にも長所短所が必ずあり、そこに人生の妙味がある。 しかし人が人を見る場合、とかく長所を見たがらず、短所を見たがる。しかし職場でも短所をあげつらう減点主義が横行しているが、 マイナス評価は人の心を腐蝕するばかりだ。
どんな人にも必ず長所はある。その長所を活用するのだ、長所をどんどん伸ばして行くと短所は自然に影を潜めて行くものだ。
チームワークと言うものは、各人の長所をうまく組み合わせることにほかならない。一人一人の長所が異質的であるほど、チームワークの相乗効果は大きい。 そのためには個性のある人を尊重すべきだ。しかし、個性のある人は必ずしも優等生ではない。」
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 「人間の能力には大きな差はない。あるとすればそれは根性の差だ」
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「個人の能力には、確かに高低の差はある。しかしそれは知れたものだ。
むしろ能力のタイプの違いのほうが大きい。タイプの違いは、どちらが上とも下ともいえるものではない。計画力に優れている人が、 執行能力に長けている人よりも上だとか、設計能力に優れている人が、製作能力に長けている人より上だとかという 考え方は、間違いだと知るべきだ。しかし、我々の周辺では同じ能力でスタートしても、長いレースのゴールでは大きく水があくという事実が厳然としてある。 これを解く鍵は、俗に言う『根性』にあると思う。根性とはいろいろ定義のしかたがあろうが、要するに『仕事への欲の強度と持続力』だと言えよう。」
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当社商品の、『人間力』を見える化する診断ツール【トライアングル・アセス メント】では、この『根性』的要素(仕事に対する探究心や継続する力といった 要素)もオリジナル定義の能力項目の中に含まれ、
 ◆個々人に対する長所(強み)、短所(弱み)
 ◆スペシャリスト向きかマネジャー向きか
 ◆七つの職種に対する可能性度合い
などを明確化します。

また、【LNS(ラーニング・ナビゲーション・システム)】は、その長所(強み) を伸ばすための具体的手段まで自動的に個人別にアドバイスできる育成重視の パッケージです。


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 「能力があるから地位につけるのでなく、地位につけて能力を発揮させよ」 ************************************************************************
「人を任用する際、われわれはえてして、彼は能力が備わってきたからそろそろ地位につけてもよかろうと考える。
しかし考えてみると、その人の能力とはその人の過去、現在の地位に対する能力があると言うことで、将来の地位に対する能力の保証はどこにもない。
すなわち新しい地位に対しては、やらせてみなければ立証できない。従って、可能性をみてあえて任用することによって、その人の能力を百パーセント上げることを期待すべきだろう。」
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 「ひとりの上位者の判断が、ひとりの人間の一生を左右するようなことがあってはならない」
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「経営者にとって最も大きく重い負担は、人事である。
経営者は確かに人事権は持っているが、それが独裁権であってはならい。それはいわば、 神の前に頭を垂れ畏れ謹んで行使すべき権限なのだ。 人間はいかに上位者であっても完全人ではなく、判断のあやまりはある。ひとりの人間 の一生を左右するような人事は一人で決めてはならない。私はどの階層の人であろうと、 幅広く情報を集めて、その人事がその人を、今まで以上に生かすことになるのかを、 子細に検討する。このように衆知を集めて最後に決める責任はトップにある。 トップはその時、神に祈る心境で人事を決するのである。」
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 「有能な部下を抱えて放せぬ者は、無能といわれてもしかたがない」
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「私は部下の所有意識を借用意識に切替えよといっている。
部下は会社からの借りものにすぎない。だからあまり借りないほうがよい。 また借りたものは、できるだけ早く返すべきだ。ところが、その返しっぷりがよくない。
有能ならざるものから返し、有能なものはあくまでも手もとに温存したがる。 本来ならば、有能な部下から順に返しながら、後に続く人を育てるのが筋だろう。それがローテーションの原則である。
それゆえ、優れた管理者とは、期待された仕事をより少ない部下で達成出来る人、 部下を早く一人前に育て次々に放出出来る人、自分の後継者を作り上げ自分はいつでも 出られるようにしている人である。」
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氏の言われるように人事は可能性を見て行うべきであり、したがって出来る だけ多くの情報が必要となってきます。
人事は最終的にはトップの責任ですが、そのトップに対して幅広い情報を提供 し、可能性レベルのアドバイスをするのが人事機能の最大の役割だと言えるで しょう。

人事機能がこの役割を真に果たせなければ、氏が言われるように社員の一生を 左右するような過ちや、前記した様に無能な上司が部下を塩漬けにするという ことが起こりかねません。


ライブウェアの【MPI(マンパワーイノベーション)システム】は、 幅広い可能性を簡便な仕組みで全社員レベルで比較検討することが可能で、 人事機能主導による適材適所を意識した人材活用を実現する
人的資産管理・活用のためのしくみで、氏の指摘されている問題の解消に 多くの企業でお役立て頂いております。


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 「『仕事の報酬は仕事である』そんな働きがいある仕事を皆がもてるようにせよ。」
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「『仕事の報酬は仕事である』とは、藤原銀次郎さんの言葉である。
これは従業員意見調査でも、この言葉を肯定する結果が出ている。即ち、満足感の源泉が、賃金に代表される金銭的要因よりも 仕事に代表される非金銭的要因により多く求められており、人間の喜びは金だけでは買えないという一事実である。
賃金は不満を減らすことはできるが、満足を増やすことは出来ない。 満足を増やすことが出来るのは仕事そのものだと言わねばならない。 仕事の報酬が仕事であるような仕事を作りだしてゆくのは容易なことではない。 そんな仕事は数多く存在しないと言う反論もあろう。 しかし、それはまちがった考え方だ。どんな仕事であろうと、それが自発的主体的に行動できるような仕事になってくれば、 人々はそこから働きがいを感ずるようになるのだ。仕事の種類程度よりも、仕事のやりかたが問題にされねばならない。」
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仕事自体を社員が自発的自主的に行えるようになっているかどうか、 これは各々のポジションでの仕事の目的はもちろんですが、 どんな仕事であろうともその仕事をする上でのきめ細かな仕組みの問題と、 その仕組みの運用の問題にかかっていると思います。


われわれライブウェアのサービスの一つ、組織力診断の【オークス】は、 各部署等の日常の仕事が自主的自発的に行動できるようになっているか、 もしなっていないとしたら何処に問題があり、どのように改善すべきかまで 一連にアドバイスが可能で(調査から分析、改善方向まで)、 人事機能はもちろんのこと、組織活性化等にお役立て頂いております。



≪※本文中で引用させていただいた文献について≫
土光氏の『経営の行動指針』は、新訂版として現在も重版されておりますので、 ご興味のある方は書店でお求めになられてみてはいかがでしょうか?

 『経営の行動指針─土光語録』(産能大学出版部)




ライブウェア株式会社
代表取締役
古田貞幸

人間力を可視化する
【トライアングル・アセスメント】


最適な「場と教育」を提供する
【MPIシステム】


何を学ぶべきかナビゲートする
【ラーニング・ナビゲーション】


組織の活性化を推進する
【組織活性化力診断オークス】