人間力だより Vol.17

  〜『道』の基本は『人間力づくり』〜
こんにちは、ライブウェア代表の古田です。


今年も例年の様に大相撲の秋場所が始まりました。
しかし、今回は国技である相撲界における薬物使用問題で、3力士の解雇者が 出てトップまで交代するという混乱の中での幕開けでした。

この問題だけでなく、最近連続して続いた不祥事の原因としては外国人力士の 採用、相撲取り出身者だけでの時代後れの経営、その他色々言われております が、この問題をもっと深く考えた根本的論評があまり無いのが残念です。

そもそも相撲をはじめ、柔道、剣道、茶道、華道等『道』とは何かということ から考えてみる必要があると思います。


『道』とは前につく単語が何であろうとも、全て『人』づくりの手段であり、 特に以前より当コラム内でもお話してきた『人間力』を身に付ける場であります。 その辺を真に分かって活動している組織、集団であれば、たとえその中にいる 対象者が外国人であろうが、経営者が素人であろうが、今回の様な問題が起こ ことは無いはずであると思います。


先月行われたオリンピックの柔道の試合を見ても、審判の判定や優勢勝ち等、 真のスポーツと言えるのかといった疑問の声が聞かれ、本来の『道』とは程遠 い存在になっているように感じます。

判定、優勢勝ち等が無い大相撲でも、勝ち負けが全ての『スポーツ化』してし まったことは事実です。

本来であれば、親方や女将さんが『道』の指導者となって、まず若者の『人間 力』をつくり、その結果としての完成の姿こそが関取であり、さらに人間力の 手本として大関、横綱が存在するはずです。


取り口日数が大幅に多くなった現在でも、未だに69連勝と言う数字が破られ ていない、かつての大横綱双葉山は、自ら当時の日本で最高峰と言われる思想 家のもとに横綱昇進前から通い、中国の荘子の『木鶏(※)』に関する話を聞 いて感銘を受け、その文字を額縁に入れて毎日、朝夕にその前に正座して、 さらに高い『人間力づくり』を目指しながらも、70連勝が成らなかった時 「イマダ モクケイニ オヨバズ」と言う電報を先生である思想家のもとに 打電してきたと言われています。

すなわち、「頑張ってきましたが、未だ『人間力』が完成しておりません」 と言っているわけであり、当時の関取の飽くなき『道』を究める姿勢が伺えま す。


<(※)『木鶏(モクケイ)』に関するエピソード とは?>******************

中国のある王が、闘鶏飼い(紀省子)に自分の闘鶏を預け、鍛えてもらった時の逸話である。

  王「もう、ぼちぼちいいか?」

  紀「空威張りの最中でダメです」という。

  
さらに10日して

  王「どうか、もういいか」

  紀「まだダメです、敵の声や、姿に興奮します」という。


さらに10日して、

  王「もういいだろう、」と3回目の督促。

  しかし、紀は

  紀「まだ、まだダメです。敵を見ると、何がコヤツがと見下ろすところがあります」

     となかなか、ウンといわない。


さらに数日して、紀は

  紀「どうにかよろしい、いかなる敵にも無心です。ちょっと見ると木鶏のようです、
  徳が充実しました。まさに天下無敵です」

と言って王の闘鶏が完成したことを肯定したというのです。


  すなわち、物事に動じない『人間力』を持つ人物のことの例えとして、「荘子・外編」に出ています。

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『道』は何も柔道や華道等の特殊な組織、団体だけに通じる言葉ではなく、世 の中に数多く存在する、我々にとって一番身近な企業そのものが『道』、すな わち『人』づくりの集団であるはずです。

確かに法律的には企業は株主の持ち物ではありますが、企業存在の一番大きな 役割とは、出来るだけ多くの良き『人材』を作り出すことではないでしょうか。


私は経営コンサルタントとして三十数年間で100社以上の企業経営のお手伝 いをしながら、各企業の『人』づくりのレベルの格差、すなわち『道』づくり への取り組みの本気度合いの格差が、長期的な企業の発展にそのままスライド している事実を数多く見せつけられてきました。

まず、企業存在の意味の第一に『人』づくりを取り上げ、自社をそのための 『道場』として作り上げ、徹底して一人でも多くの社員の『人間力づくり』を 行っているかどうかということになります。

その結果として利益が上がり、企業が発展するわけであり、持ち主である株主 も融資先である銀行等も、その辺を見て投資するのが本来の姿ですが、どうし ても目先の結果と財務諸表で見える有形の資産で判断してしまっているのが実 態です。

私は、判断してしまっているのが実態であると述べましたが、本来、長期的発 展の一番の原動力であるはずの各企業の人材資産、すなわち『人間力』のレベ ルが分かる、共通の指標が無いために、しかたなく唯一明確な財務諸表に頼ら ざるを得ない、と言ったほうが正解かも知れません。


広い意味において道徳的学習、人格作り学習等、これらを全て含めて『人間力 づくり』の学習とするならば、基本的にこの辺の学習に力を入れなければ、 企業の真の繁栄はあり得ないことになるのです。


企業で取り組む学習を分類するとすれば、基本的に二つに分けられると思いま す。

一つは企業の発展に必要な知識、技術を学ぶことであり、もう一つは知恵を学 ぶことです。
この二つは一見同じことの様に見えますが、大きく違います。

知識の学習はそれぞれの理解力、記憶力、判断力、推理力等、各自各々の悟性 の働きによって、程度の差こそありますが、誰にでも出来るものであり、機械 的な能力であると言われています。

しかし知恵を学ぶと言うことは、機械的なことではなく、実際の経験を積み、 思索反省を積み重ね、人間としての行動・体験の中から滲み出てくる、もっと 直観的な、人格的な学習であり、知恵の学習が深くなればなるほど、生活的、 精神的、人格的に豊かな人間になってくるわけであり、多くの知恵を身につけ たひとこそ、高い『人間力』を持った人と言えるのではないでしょうか。


例えるならば、どんなに嵐に遭ってもびくともしない大木の根作りが『知恵』 づくりの学習にあたり、しっかりした根があればこそ、枝葉が伸び、毎年花を 付け、知識を生かした大木が出来る様に、全てにおいて『根』が基本であり、 『知恵づくり学習』が如何に大切かを企業人として再考していただきたいと思 います。


最近、企業においても[相撲界に見られる『スポーツ化』、『道』を外れた行 動]と同様に、知識・技術等の機械的能力の向上に走り、先に述べた『知恵』 づくり、『人間力づくり』がおろそかになってしまっている所が増えている ことは心配です。

近年の世界的なIT化の発達により、我が国が得意として来た知識・技術は発 展途上国へとオープン化されてゆく時代の中で、資源も無い我が国の各企業が 世界で生き残り、さらに発展するためには、企業各々の『道場』づくりが今後 の大きな課題ではないでしょうか。

戦後の日本はどうしても、企業が牽引車とならなければなりませんでした。 そして現在、全てがおかしくなりつつあるこの日本を、もう一度世界から認め られる国に変える事が今大切なことであると考えます。


我がライブウェア株式会社は、会社設立の趣旨からもお分かり頂けるとおり、 企業レベルでの『人間力づくり』の為の色々な方策をご提供してまいりました

もちろんそれらは全て、私及び私の諸先輩方の数多くの企業のコンサルティン グ経験の中から得た事実と、国内外の各種データ分析から作成された、各種シ ステムが中心となっております。


今回の『道』づくりに活用していただけると思われる当社の関連商品としまし ては、下記に掲げるものがあり、現在、大企業から中小企業に至るまで企業全 体、あるいは特定部門向け等、幅広くご活用頂いております。



ライブウェア株式会社
代表取締役
古田貞幸

人間力を可視化する
【トライアングル・アセスメント】


最適な「場と教育」を提供する
【MPIシステム】


何を学ぶべきかナビゲートする
【ラーニング・ナビゲーション】


組織の活性化を推進する
【組織活性化力診断オークス】